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調査・研究

タブレット教材を活用した休日学習支援 〜学習習慣と基礎学力の変化〜

2019. 7. 23
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幅広い学力の児童生徒を支援する教材として『スタディサプリ』を利用

 

2018年5月から2019年2月にかけて、大阪府寝屋川市教育委員会では「寝屋川スマイル塾」を主催し、市内の小学5年生から中学3年生の児童生徒のうち希望者が休日に講師による支援のもと、タブレット教材を活用しながら学習に取組みました。

 

「寝屋川スマイル塾」では、学習習慣の定着と基礎学力の向上を狙い、『スタディサプリ』を主たる教材として利用しました。同教材の特徴としては、多くのタブレット教材と異なり,「(問題ではなく)授業動画が中心の教材である」そして「その授業動画は(問題の解法だけでなく)単元の概念から教える構成である」ことが挙げられます。また、小中学校全学年の範囲について学習指導要領に沿った形で講義が用意されており、学年を超えたさかのぼり学習に取り組みやすい構造となっており、スマイル塾に参加する幅広い学力層の児童生徒に対応した教材であるといえます。

 

この取組みが学習習慣や基礎学力にどのような変化を与えたのか、期初(2018年5月)と期末(2019年2月)とを比較することで検証しました。

 

 

【学習習慣の変化】家庭学習時間は大幅に増加

 

ス マ イ ル 塾 参 加 者 の 1 日 あ た り の 家 庭 学 習 時 間( 宿 題 、学 習 塾 や ス マ イ ル 塾 等 で の 学 習 を 除 く )は以下の通りとなり、小中学生ともに 1 時間以上の割合が大幅に増加しました。

 

<1時間以上>

(中学生)24.9%から 42.0%に ➡17.1 ポイントの増加

(小学生)11.1%から 26.2%に ➡15.1 ポイントの増加

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【基礎学力の変化】テストの得点率が向上

 

期初テストと期末テストの得点率の伸びについて、期初テストの正答率が高い順に、3グループに均等割りし、上位から順にA 層 B 層 C 層に分けて、期初と期末の得点率の伸びを測定しました。

 

<中学生全体、小学生全体とも得点率が向上>

(中学生)全体:平均得点率 59.6%から 63.9%に ➡ 4.3 ポイントの増加

(小学生)全体:平均得点率 68.7%から 79.5%に ➡10.8 ポイントの増加

・特に、C 層と B 層において伸びが大きい

(中学生)C 層:平均得点率 39.7%から 50.5%に ➡10.8 ポイントの増加

B 層:平均得点率 61.2%から 67.6%に ➡ 6.4 ポイントの増加

(小学生)C 層:平均得点率 37.1%から 68.9%に ➡31.8 ポイントの増加

B 層:平均得点率 66.6%から 81.6%に ➡15.0 ポイントの増加

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【学びに向かう姿勢の変化】高い満足度

 

期末にはアンケート調査を実施しました。「スマイル塾」の満足度について、小学生では92.6%が、中学生では89.6%が「まあよかった」、「大変よかった」と回答し、高い満足度がうかがえます。

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加えて自由記述では、下記のような回答が多く寄せられ、『スタディサプリ』を活用した学習の機会が、未修得の単元内容を理解することのできる場として受容されていたことがうかがえます。

 

【自由記述より】(抜粋)

・映像で学習したら、テストの時に役立って点数が取れました。

・学校で習ったところの復習に上手く活用できたので良かったです。

・スマイル塾に参加して勉強する時間が増えて理解出来ていないことを理解出来るのでとても嬉しいです。

・学校での授業が分かりやすくなりました。

・分からない所や苦手な所がある時は、映像を見て確認出来たのが良かったです。

・土曜や日曜は、いつも勉強しなかったけど、スマイル塾に行きはじめてからは、休みの日にも勉強する時間ができたのでよかったです。

・友だちといっしょに勉強できる時間が楽しかったし、楽しみながら算数の力が身に付いてきたので良かったです。

・普段は家で全然勉強をやっていなかったけど、スマイル塾に行くようになってから、「勉強しよう!」っていう気持ちになることも増え たから良かった。

 

 

【考察】得られた成果と今後の課題

 

学習支援の場において、授業動画を備えたタブレット教材を用いた支援は学習習慣の定着と基礎学力の向上につながりうることがわかりました。

一方で、より詳細な検証、特に学習履歴データを分析することで得られる児童生徒の学習行動の変化等は今後の取組み課題です。